聴講者大満足の6時間

 発熱教室──。聴講者の1人は本セミナーをこう表現した。講師は本誌連載中の「本質を究めるためのホンダイノベーション魂!」の筆者で、元ホンダの技術者である小林三郎氏。「バカヤロー」を連発しながらの熱く、そして歯に衣着せぬ語り口は、セミナー会場のボルテージを一気に高めた。

 小林氏が語るのは、イノベーションの重要性とその本質だ。イノベーションは新しい価値を生むための壮絶な仕事だが、多くが陥る過ちは、ここに通常業務であるオペレーションの判断基準を適用してしまうこと。それでは決してイノベーションは生まれない。小林氏は、自身が16年かけて開発したエアバッグの経験談を交えながら、イノベーションとは何か、イノベーションのために何をすべきかを6時間にわたって訴え続けた。

 セミナーを聞き終えた聴講者の顔は満足感にあふれていた。「イノベーションのコツを聞けると思っていたら、もっと大事な、もっと根本的な話だった」「日ごろ、手段や方法論ばかりに目を奪われている自分を反省した」「実体験を踏まえた説得力のある話にとても刺激を受けた」。

 聴講者の多くがこう望んで帰途に着いた。発熱教室をもう1度──。