受講者同士の討議で刺激

 最初は受講者同士互いに遠慮がちだったが、講師の田村隆徳氏が各グループの発表者を指名して討議を促すと、少しずつ議論が進みだした。午後に入って、演習問題を解くために、受講者を4、5人ごとのグループに分けたときの様子である。

 CAE活用に関する演習といっても、コンピュータを使うわけではない。「片持ちばりの強度について検討せよ」「強度以外で検討すべき項目は何か」「測定結果とCAEの計算結果に差があるのはなぜか」といった課題を、紙と鉛筆と電卓を使ってグループごとに議論し、それを代表者が発表するのである。設計者がCAEを使いこなすための、実践的なポイントについて改めて考えるための演習だ。

 長年、設計業務とCAEに携わっている田村氏が強調するのは、工学的な基礎知識を理解した上でCAEを活用すべきということ。強度なら材料力学、流れなら流体力学といった、物理現象の基礎を知らないと、設計には役立たない。物理現象を見極める力量がないと、計算結果の解釈を間違い、見当違いの設計となりかねない。グループ討議を通して、自分と他者の意見を交えつつそうしたポイントを実感として学べる点が、受講者を大いに刺激していた。