豊田合成は、燃料の注入口からタンクまでの配管を樹脂製にした。鋼管製からコストを上げずに、質量を約2kgから1kgに半減させた。管を成形し、衝撃を吸収させる柔らかい蛇腹の部分、熱成形で曲げられる硬い蛇腹の部分、管そのままの部分の三つに作り分けた。鋼管で必要だったゴムホースを不要にした。

 豊田合成は、燃料の注入口からタンクまでの配管を鋼管製から樹脂製にした。採用が始まってから既に第2世代に突入しており、2008年にトヨタ自動車が「iQ」に採用したのが第1世代(図1、2)。その後改良を進め、「ラクティス」「ヴィッツ」「アクア」「カローラ」、欧州向け「Yaris」に次々と第2世代を採用した。トヨタは今後とも「Bプラットフォーム」の車種に標準的に使っていく方針だ。
 壁に沿った注入口から床にあるタンクまで燃料を運ぶ配管は、普通は鋼管製である。注入口、タンクの位置にもよるのだが、さまざまな周辺部品を合わせて2kg程度の重さがある。これを軽くすることは重要だが、価格が上がってしまえば自動車メーカーが採用してくれなくなる。今回は価格が同等か、わずかに低い程度に抑えながら、質量を約1kgに半減させた。これなら費用対効果は十分だ。

以下、『日経Automotive Technology』2012年9月号に掲載
図1 トヨタ自動車の「iQ」
図1 トヨタ自動車の「iQ」
豊田合成の樹脂燃料配管を初めて採用した。
図2 第1世代の樹脂配管
図2 第1世代の樹脂配管
手前が燃料注入口、奥がタンク。