「脱プラットフォーム」の動きが自動車業界で進んでいる。プラットフォームの代わりに台頭してきたのが、モジュールという概念だ。車両を複数のモジュールの集合体と定義し、モジュールの組み合わせによって多様な車種を作り分ける設計標準化に挑む自動車メーカーが増えてきた。その目的は、複数の車種でこれまで以上に部品を共通化することである。

 例えば、日産自動車は2013年以降に市場投入する新型車に「日産CMF」と呼ぶ設計手法を適用する(図)。日産CMFでは、車両の土台に当たる部分を4つのモジュールに分割し、各モジュールに幾つかの種類を用意する。このモジュールの組み合わせを変更することで、小型車/大型車/MPV(多目的車)/SUV(スポーツ用多目的車)など、さまざまな車種を実現できるようにする。

 これらの機構に関するモジュールとは別に、全ての電子部品を包含した「電子アーキテクチャー」も整備した。この電子アーキテクチャーとモジュールを組み合わせることで、機能や性能を効率的に設計できるという。これらの取り組みによって、新型車の開発工数、購入部品コスト、生産投資をそれぞれ約30%ずつ削減できる見込みだ。

〔以下、日経ものづくり2012年4月号に掲載〕

図●「日産CMF」の概要
図●「日産CMF」の概要
車両を「エンジン・コンパートメント」「フロント・アンダーボディ」「コックピット」「リア・アンダーボディ」という4つのモジュールに分割。それぞれのモジュールに幾つかの種類を設け、これらを組み合わせることで多様な車種を実現する。日産自動車の資料を基に作成した。