2012年以降、電動車両の市場投入が相次ぎ、車載用Liイオン2次電池市場が急拡大しそうだ。自動車メーカーとの合弁会社だけでなく、独立系の電池メーカーが受注を拡大してきた。それでも車載用Liイオン2次電池の開発競争はまだ始まったばかり。車載電池メーカーは次世代電池への取り組みを活発化している。次世代材料など最新の開発状況を、2012年2月に開催された「AABC 2012」から報告する。

拡大する車載用Liイオン2次電池パックの市場

 「年間新車販売台数に占める電動車両の比率を2015年には2~5%、2020年には10~25%に高める」(米Ford Motor社)──。

 日本のトヨタ自動車や日産自動車、ホンダだけでなく、世界の大手自動車メーカー各社が電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)といった電動車両の市場投入を本格化させている。

 これに伴い、車載用Liイオン2次電池の市場がようやく本格的に立ち上がり始めた。2011年の市場を牽引したのは、EV用Liイオン2次電池である。日産自動車の「リーフ」を筆頭に、三菱自動車の「i-MiEV」「MINICAB MiEV」やフランスRenault社の「Fluence Z.E.」「Kangoo Z.E.」など、同電池を搭載するEVが発売されているからだ。

 例えば、日産自動車やRenault社にLiイオン2次電池を供給しているオートモーティブエナジーサプライ(AESC) 代表取締役社長の松本昌一氏は、「EV向けで4万5000台分、HEV向けで6000台分を既に生産した」とする。

 米Advanced Automotive Batteries社のMenahem Anderman氏によれば、EV用Liイオン2次電池パックの市場規模は、2011年の約8億米ドルから2012年は10億米ドルを超え、2015年には25億米ドルに達すると予測する。

『日経エレクトロニクス』2012年3月19日号より一部掲載

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