技術の優位性を保つ上で欠かせない特許。かつては技術の囲い込みや防衛のため、メーカー各社が出願数や登録数を競っていた。しかし、事業に結び付かないという「効率の悪さ」が指摘され、特許の「質」が問われるようになっている。今回の調査で浮き彫りになったのは、闇雲に出願するのではなく、事業戦略や技術開発戦略に沿った「効率の良い」特許出願を指向する傾向が強くなっているという点だ。(吉田 勝)

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 ここ5年ほどで出願する特許の効率、つまり事業に貢献できる割合が変わってきているかどうかを聞いた。「事業に貢献する割合が高くなっていると思う」と答えた人は25.2%と約1/4以上を占めた。逆に「低くなっていると思う」との回答は18.2%にとどまった。最も多かったのは「変わらないと思う」の43.6%だったが、低くなっていると感じているよりも高くなっていると思う人の方が多いということは、かつて懸念された特許の効率が低下する傾向に歯止めがかかりつつあるようだ。

〔以下、日経ものづくり2012年3月号に掲載〕