今回取り上げるのは、交流電力を直流電力に変換するAC-DCコンバータ。電気自動車やプラグインハイブリッド車の登場で、自動車業界での重要度が高まっている。使いこなすには、各回路方式の利害得失を理解する必要がある。

 電源回路は、入力と出力の関係から四つに分類できる。すなわち、AC-DCコンバータとDC-DC コンバータ、DC-ACコンバータ、それにAC-ACコンバータ(マトリックス・コンバータ)の四つだ。本連載では、過去3回にわたってDC-DCコンバータを対象に解説してきた。今回は、AC-DCコンバータについて解説していこう。
 AC-DCコンバータの入力は交流(AC)電力である。商用電源(ACコンセント)から電力供給を受け、それを直流(DC)電力に変換して出力する。従って、ガソリン車やハイブリッド車(HEV)で必要とされるケースは少ない。AC-DCコンバータを必要とするのは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)である。商用電源に接続して、バッテリを充電する必要があるからだ。EV やHEV の出荷台数の増加に伴い、AC-DCコンバータの重要度が、今後自動車業界で高まっていくことは間違いない。

以下、『日経Automotive Technology』2012年3月号に掲載