「ISO26262は、自動車市場という土俵に上がるための資格だ。これをチャンスと捉えて開発プロセスを再整理し、必要なもの(情報)を必要なタイミングで取り出せる仕組みを作り上げたい」(デンソー電子プラットフォーム開発部長の後藤正博氏)──。2011年11月15日、欧州を中心にかねて検討されてきた車載用の電気・電子機器の機能安全規格「ISO26262」(Road Vehicles-Functional Safety)が正式発行となった。開発での安全に対する設計思想や設計根拠、検証結果などの細かなドキュメントとトレーサビリティーを求める同規格。先行する欧州の完成車メーカーの要請に応じて、日本でも大手サプライヤーは対応を進めてきた。

 ただし、日本の完成車メーカーが本格的に製品への適用を始めるのはこれからで、対応についてはまだ様子見のサプライヤーも多い。しかし、多くの完成車メーカーがいずれ取得に動き出すものとみられ、同規格への対応が実質的に調達の必須条件になるだろう。国内メーカー、特にサプライヤーは今後1~2年で製品開発プロセスの修正・変革を求められることになりそうだ。

〔以下、日経ものづくり2012年2月号に掲載〕