ボディ側面が映像ディズプレイになるクルマや自動で駐車できる小型電気自動車(EV)などが派手さを競う中、燃費を劇的に改善する技術が異彩を放っていた──。「第42回東京モーターショー2011」(一般公開は2011年12月3~11日)は、米国の自動車メーカーの姿が見られないなど若干寂しい面もあったが、技術的には実に見所が多かった。低燃費競争は今後、ますます激化しそうだ。

 今回のモーターショーで明らかになった優れた低燃費技術を、「パワートレーン編」「部品編」に分けて詳しく見ていこう。

パワートレーン編

 「ライバルは『プリウス』だった」。トヨタ自動車が2011年12月下旬に発売する予定のコンパクトカークラスのハイブリッド専用車(HEV)「アクア」(図)。同車を生み出す上で、開発陣が掲げた目標がこれだった。

 アクアは、排気量が1. 5Lのガソリンエンジンと駆動モータ(以下、モータ)を組み合わせたHEVで、現行プリウス(以下、プリウス)と同じくシリーズ・パラレル方式だ。排気量が1. 8Lの「プリウスよりも親しみやすい、2020年に向けた国民車」(同社の社員)というコンセプトで企画された。

 その上で、プリウスが持つ32. 6km/L(JC08モード、以下同)という世界最高の低燃費を塗り替えることが、アクアの開発陣に与えられた課題だった。結果、アクアが実現した燃費は35.4km/L。もちろん、世界一の燃費である。

〔以下、日経ものづくり2012年1月号に掲載〕

図●トヨタの新型HEV「アクア」
現行プリウスを超える35.4km/Lの低燃費を実現。大きさが全長3995×全幅1695×全高1445mmとコンパクトカークラスでありながら、バッテリをリアシートの下に収納して荷室を大きくするなどパッケージングも工夫した。価格は170万円前後とみられている。海外では「Prius c」として販売する。