スイッチング方式のDC-DCコンバータをプリント基板上で実現する方法は大きく分けて四つある。この中から、電力を供給する負荷の特性やコスト、外形寸法、電源設計者の知識/経験などを考慮して、最適な方法を選択する必要がある。

 電気自動車やハイブリッド車はもちろん、ガソリンエンジンで駆動する自動車にも、スイッチング方式のDC-DCコンバータは数多く搭載されている。その役割は、さまざまな電子回路に電力を供給することにある。
 DC-DCコンバータを構成する部品は、オペアンプやコンパレータ、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子、ダイオード、コンデンサ、インダクタ、抵抗などにすぎない。使用する電子部品はそれほど多くないので、簡単に回路を設計できると錯覚する人もいるかもしれない。
 しかし、実際は違う。DC-DCコンバータではこうした少ない構成部品が巧みに連携して機能することで、複雑な動作を生み出している。回路動作を完璧に理解し、把握することは難しい。従って、DC-DCコンバータの設計は、回路図を見た印象よりも、はるかに難度が高いと言っていいだろう。

以下、『日経Automotive Technology』2012年1月号に掲載