現場主義を強調

 「現場を知らない技術者は、医療機器を開発できません」──。講師の木村浩実氏がそう言った時、受講者の間に緊張が走ったように感じた。同氏の発言は、受講者からの「医療機器に携わる技術者に、どのような教育が必要か」という質問に答えたものだ。

 医療機器開発のコンサルティングを手掛ける木村氏は、指導先企業の技術者に対し、まず現場に立つことを奨励しているという。この場合の現場とは、診断や手術などの医療が行われている場所を指す。医療機器や部材が実際にどのように使われているのか、それを知らなければ医療機器の開発などできるわけがないと同氏は指摘する。

 そこで同氏が説くのは、ニーズや使用法を把握することの重要性だ。医療機器のニーズや使用法は、技術者の常識が通じないことが多いからである。

 高い技術や品質など、医療業界が製造業に寄せる期待は大きい。同氏も、多くのメーカーが参入することで医療機器が進化することを望んでいる。だからこそ、医療機器・部材の正しい開発手法を習得してほしいという同氏の思いが強く感じられる講義だった。