Intel社は2011年9月13~15日、開発者向け会議「Intel Developer Forum 2011」を開催した。そこで同社が強く打ち出したのは、マイクロプロセサの内部アーキテクチャの強みではなく、マイクロプロセサやコンピュータ全体の低消費電力化を実現する各種の技術革新だった。これまで通り「ムーアの法則」に従った半導体の微細化を継続するだけではなく、きめ細かい電力管理機構の追加や論理回路の抜本的なエネルギー効率の向上を進める。

微細化を推進力に低消費電力化を進める

 「3次元構造のトランジスタを採用する22nm世代の半導体製造技術は、幅広い分野のコンピューティング機器の性能や電力効率を新たなレベルに引き上げる」「2013年の『Ultrabook』では待機電力を現行品の1/20以下に減らし、10日間以上の連続待機時間を実現する」──。

 毎年9月に米Intel社が開催する開発者向け会議「Intel Developer Forum」(IDF)。2011年のIDFでIntel社 President & CEOのPaul Otellini氏が強く打ち出したのは、コンピュータの低消費電力化を牽引するというメッセージだった。演算の電力効率の向上や、システム全体の消費電力の低減といった観点から進めている技術革新をアピールした。

22nm品の投入は予定通り

 Intel社の業績は好調だ。2010年度通期(同年12月25日まで)に、前年度比24.1%増の436億米ドルという過去最高の売上高を達成。2011年度上半期(同年7月2日まで)には、前年同期比22.8%増の258億米ドルを売り上げた。新興国での普及拡大を主因とするパソコン出荷台数の伸びと、インターネット・トラフィックの爆発的な増加に伴うサーバー機需要の拡大が追い風となっている。

 逆風もある。米Microsoft社が次期OS「Windows 8」で新たに英ARM社のCPUコアを搭載したマイクロプロセサにも対応することや、低電力版マイクロプロセサ「Atom」シリーズの販売が思うように伸びていないことだ。これにより、市場のほとんどを握ってきたパソコン向けマイクロプロセサでシェアを奪われたり、成長著しいスマートフォンやタブレット端末の市場で蚊帳の外に置かれたりする可能性がある。

 そうした中でIntel社がまず打ち出したのは、業界に先駆けた半導体の微細化が、優位性を保つ原動力になるという主張だった。今回のIDFでは、22nm世代の技術で製造する最初のマイクロプロセサ「Ivy Bridge」(開発コード名)の量産を予定通り2011年内に開始し、2012年に発売することを改めて表明した。「既に14nm世代の製造技術も視野に入れており、技術開発は順調に進んでいる」(Otellini氏)。

『日経エレクトロニクス』2011年10月17日号より一部掲載

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