欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 この原稿を書いているのは8月末で、記事が読者の目に触れるころには、フランクフルトモーターショーはすでに閉幕しているだろう。
 ことしのフランクフルトショーで私が最も注目している二つの興味深いエンジンは、スーパーカーのメーカーではなく、大手完成車メーカーから出展される。Ford Motor社と韓国Kia Motors社の両社は、ハイブリッド車や電気自動車(EV)の勢いが増す中で、有害物質の排出量が少なく燃費に優れ、しかも印象的な出力を発生する小排気量の過給エンジンを開発することを選んだ。
 両社のエンジンとも気筒数は3気筒である。Fordのエンジンは排気量1.0Lの「EcoBoost」ガソリンエンジンで、Kiaは1.1Lの「EcoDynamics」ディーゼルである。燃費はKiaのエンジンを積んだ4人乗りのベーシックモデルの場合で3.2L/100km(31.25km/L)、CO2排出量は85g/kmと、Daimler社の「Smart Fortwo」よりも優れている。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載