ダイハツ工業は燃費と価格を両立させた軽自動車「ミラ イース」を発売した。燃費はJC08モードで30km/Lから、価格は80万円を切る。

 2009年の「第41回東京モーターショー」の参考出品車「イース」は3ドアだったが、量産車は5ドアになった。後席を使う頻度の高いユーザーは背の高い車種やスライドドアを装備した車種に流れることがはっきりしている。「ミラ イースのような車種は、後席はほとんど使わないのだが、荷物の置きやすさを評価し、やはり5ドアが選ばれる」(同社技術本部エグゼクティブチーフエンジニアの上田亨氏)という判断だ。
 燃費は前輪駆動車の全グレードともJC08モードで30km/L、10・15モードで32km/L。従来の「ミラ」に比べて40%向上した。寄与率はエンジンが14%、アイドリングストップ機構が10%、軽量化が5%、CVT(無段変速機)が4%、発電制御が3%、走行抵抗の低減ほかが3%の順だ。
 エンジンは以前からの3気筒「KF」型(図)。ブロックを流用しながら圧縮比を10.8から11.3に上げた。必然的に増えるノッキングを抑えるため、燃焼室周りの冷却を強化し、燃焼室の形状も変えた。
 インジェクタは燃料粒子の径を小さくし、より完全に気化するようにした。ノズルを長くして吸気ポート内に突き出すようにし、ポート壁面に燃料が付着することを防いだ。  燃焼室内のイオンで燃焼状態を検出するシステムを採用した。ダイハツはこのシステムを触媒の早い時期の活性化に生かしてきたが、今回はEGR(排ガス再循環)を大量に送り込むための制御に生かす。
 さらにタイミングチェーンの幅を狭めるなどの対策で摩擦損失を減らした。

以下、『日経Automotive Technology』2011年11月号に掲載
図 KFエンジン
圧縮比は11.3、ノズルの長いインジェクタを装備した。