ドイツの自動車メーカーが、工場の省電力化を強化している。Daimler社とVolkswagen社は省電力化に向けて、独Cologne University of Applied Science(ケルン工科大学)と共同で、工場の消費電力に関する詳細な調査を実施した。両社が削減を見込んでいるのは、生産設備が“休止”しているときの電力だ。

 調査を主導したケルン工科大学教授のFrithjof Klasen氏によれば、生産設備の省電力化は以前から進んでいたので、稼働時の消費電力は削減の余地が少ない。だが、設備が休止しているときの消費電力はほとんど手付かずであり、大幅に削減できる可能性があるという。

 一般に、生産設備は休止時でも相応の電力を消費している。休止状態から素早く再稼働させるには、常に一定の電力を供給しなけれならないからだ。そのため、操業時間中の休憩など短い休止だけではなく、夜間や週末などの操業時間外の長い休止でも、大きな電力を消費することが常態化していた。

 休止時の消費電力を削減するには、生産設備の消費電力に関する具体的なデータが不可欠。しかし、Daimler社やVolkswagen社では、工場全体や生産ラインという大きな単位での消費電力は把握していたが、個々の生産設備の消費電力までは分かっていなかった。そこで両社とケルン工科大学は、実際に車両を生産している工場において、生産設備が稼働時/休止時にどの程度の電力を消費しているのかを操業中の生産ラインで調査した。

〔以下、日経ものづくり2011年9月号に掲載〕