ハイブリッド車(HEV)でLiイオン2次電池の採用が広がってきた。従来のNi-MH(ニッケル・水素)2次電池よりも小型・軽量化できるうえ、電池の出力を高められるので動力性能の向上にもつながるのが魅力だ。コスト高が課題だったが、ここにきてNi-MHと同程度まで下がってきたことも採用を後押しする。

 ホンダは4月に開催されたニューヨークモーターショーで、第9世代となる新型「シビック」を発表した。現在のところ日本では発売予定のない新型シビックだが、注目されるのは、ハイブリッド仕様であるシビックハイブリッドに、同社のハイブリッド車として初めてLiイオン2次電池を搭載したことだ。
 翌5月には、トヨタ自動車が「プリウス」をベースに室内のスペースを拡大したHEVワゴン車「プリウスα」を発売した。プリウスαには7人乗りと5人乗りの2車種があるが、このうち7人乗り仕様車だけにLiイオン2次電池を採用した。
 トヨタ自動車は、2003年に発売した「ヴィッツ」のアイドリングストップ仕様車で、エンジン再始動用の電源としてLiイオン2次電池を採用したほか、2009年12月に限定発売したプラグインハイブリッド車(PHEV)の「プリウス プラグインハイブリッド」にLiイオン2次電池を搭載した実績がある。しかし量産ハイブリッド車の動力用にLiイオン2次電池を採用するのは今回が初めてだ。

小型・軽量化できるのが魅力

 すでに日産自動車は、2010年11月にLiイオン2次電池を搭載したHEV「フーガハイブリッド」を発売している。日本の大手自動車メーカー3社が、2010年の終わりから2011年前半にかけ、Liイオン2次電池を搭載したHEVの商品化でそろい踏みした(表)。

以下、『日経Automotive Technology』2011年9月号に掲載
表 最新ハイブリッド車に搭載されたLiイオン2次電池の比較
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