GPSと同じ仕組みで屋内測位を可能に

 「3・11のインパクトは大きかった。これまで、位置情報がこれだけ注目を集めたことはなかったのではないか」──。慶応義塾大学 環境情報学部長の村井純氏が指摘するのは、東日本大震災を契機にした測位技術への期待の高まりだ。

 例えば、震災直後に自動車大手が公開した、被災地の道路の通行情報を提供するWebサービス。カーナビの位置情報などを活用し、通行実績のある道路を地図上に色分けして表示した。医療現場でも、避難所と浸水地、医療機関の位置関係を地図上で可視化する動きが広がった。

 「日本に最高の市場ができれば、それをステップに、世界に提案できる」と、村井氏は震災後を見据える。災害支援などの厳しい現場で鍛えた測位技術を生かせば、平時にも役立つ可能性が高いというわけだ。

 ここにきて、測位技術の分野で“日本発”の基盤技術の普及を目指す動きが本格化している。屋内外でシームレスに正確な位置を把握する環境を整える取り組みだ。

『日経エレクトロニクス』2011年7月25日号より一部掲載

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