2011年6月、ビデオ・ゲーム業界で世界最大級の展示会「E3 2011」が米国ロサンゼルスで開催された。今回は、任天堂の据置型ゲーム機「Wii U」と、SCEの携帯型ゲーム機「PS Vita」など、次世代機に注目が集まった。一方Microsoft社は、1000万台を超える大ヒットを飛ばしたジェスチャー入力コントローラ「Kinect for Xbox 360」の新機能を発表し、来場者の関心を集めた。

 「かつて、カジュアル・ゲーマーからコア・ゲーマーまで、あらゆる趣向の人を満足させるゲーム機は存在しなかった。我々はそれを次世代機で実現する」──任天堂 代表取締役社長の岩田聡氏はこう宣言し、同社の据置型ゲーム機「Wii」の次世代機となる「Wii U(ウィー・ユー)」を「Electronic Entertainment Expo(E3) 2011」で初めて披露した。

 任天堂はE3の開催前から、次世代機を公開する方針を明らかにしていた。このため今回のE3では、このWii Uが最大の関心事となった。

 実際、任天堂ブース内には多くの来場者が集まり、Wii Uの実機を体験するまで4時間近く待つ場合もあった。開催期間中、体験しようと集まった人々の長蛇の列は絶えなかった。

これまでの印象を払拭

 任天堂の現行機であるWii(2006年12月発売)は、加速度センサを搭載したコントローラで直感的な操作を可能にしたことで、高齢者や女性など、これまでビデオ・ゲームに親しんでこなかったユーザー層にも受け入れられた。全世界で累計8600万台以上を出荷し、ゲーム人口の拡大に大きく寄与している。

 ところがこの結果、皮肉にも「Wiiはカジュアル・ゲーマー向け」との印象が定着してしまった。任天堂がWii Uで狙うのは、このイメージを払拭し、なるべく多くのコア・ゲーマーに訴求することである。

『日経エレクトロニクス』2011年6月27日号より一部掲載

6月27日号を1部買う