パソコン産業を形作ってきた“Wintel”モデルが曲がり角に差し掛かっている。Microsoft社はWindowsをARMに対応させ、Intel社はGoogle社のOSへの対応を進める。大きな伸びが期待されるモバイル・コンピュータの市場で、誰が主導権を握るのか。パソコンの開発・製造を担ってきた台湾で浮かび上がったのは、Wintelに代わる主役を狙う各社の動きだった。

タブレット端末などの新型モバイル・コンピュータが多数登場

 「2003年に『Centrino』でパソコンのモバイル化を実現したように、今こそパソコンを再発明する時だ」(米Intel社 Executive Vice PresidentのSean Maloney氏)。

 「2015年に出荷されるノート・パソコンのうち、約40%がARMベースのものになるだろう。(ノート・パソコンとタブレット端末、ネットブックを含めた)モバイル・コンピュータ全体では、2015年は50%以上がARMベースになる」(英ARM社 PresidentのTudor Brown氏)。

 台湾メーカーがさまざまなノート・パソコンやタブレット端末を出展し、関連業界のVIPが顔をそろえた「COMPUTEX TAIPEI 2011」(2011年5月31日~6月4日、台湾・台北市)。ここで見えてきたのは、ポスト“Wintel”時代の主役の座をめぐる争いが激しさを増していることだった。

 パソコン業界は今、大きな変革期にある。米Microsoft社がOS「Windows」の次世代版でARMコアに対応することを発表し、市場面では米Apple社の「iPad」シリーズによってタブレット端末の存在感が急速に高まっている。Microsoft社のWindowsと、Intel社のマイクロプロセサおよびチップセットを使い、台湾メーカーが製造するという図式で成長してきたパソコン産業は、まさに曲がり角に差し掛かっている。

 Wintelに代わって台湾メーカーと強固な関係を築き、市場を支配するのは誰か──。

『日経エレクトロニクス』2011年6月27日号より一部掲載

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