ソニーは、拡張現実感(augmented reality:AR)に、ロボット技術の開発で培った空間認識の技術を統合した「統合型AR(SmartAR)」を開発した。これにより、ARの重畳映像が空間を自由に歩き回り、しかもその映像に人間の手や任意の物で触ることができるようになった。これまでにない新しい機能を備えたゲームや家電機器、携帯端末の開発につながる可能性もある。
マーカーに映像を縛るジレンマ
映像を扱うARは、コンピュータの支援を得て人の視覚を強化・拡張する技術である。具体的には、人の視界またはその代わりとなるカメラの映像中に、さまざまな情報や映像を重畳することで実現する。
従来のARでは、重畳する情報や映像をいつ、どこに、どの向きで出すかを決めるトリガとして、「マーカー」と呼ばれる2次元バーコードの一種がよく使われてきた。しかし、この手法は手軽で分かりやすいメリットがある半面、課題も多かった。