3月の東日本大震災は、自動車メーカー、部品メーカーに大きな影響を与え、生産の平常化には今年いっぱいかかりそうだ。東北地方の自動車産業に詳しい、元東北学院大学経営学部准教授の目代武史氏に、東北の自動車産業の復興の見通し、災害に強いものづくりのあり方について聞いた。(聞き手は林 達彦)

九州大学 大学院統合新領域学府 オートモーティブ サイエンス専攻 准教授 目代 武史氏

 東北地方の完成車の年間生産能力は、関東自動車工業で30万台、セントラル自動車で8万台と、2010年の国内の乗用車生産台数830万台に対して5%にも満たない。
 また、金額ベースの域内部品調達率は関東自動車で40%程度、セントラル自動車で20%程度とまだ少ない。すでに自動車産業が定着している九州地方の5割超より劣っており、自動車部品産業もまだ発展途上というのが実情だ。
 今後、東北地方の自動車産業は短期的には、建屋や装置の復旧、部品メーカーの支援、災害対策などに時間とカネがかかる。余震も当面は続くと見られ、再び停電する恐れもあり、復旧には半年から1年程度はかかるだろう。
 中長期的には、自動車メーカーが今後も東北地方を重視することをはっきりと打ち出すことが今後の復興、発展に不可欠となる。

以下、『日経Automotive Technology』2011年7月号に掲載