「ニンテンドー3DS」の主な処理を一手に引き受ける、「Nintendo」ロゴの入ったSoC。誰が設計し、誰が製造したのか。前世代のSoCと何が変わったのか。SoCの詳細な解析から、任天堂の設計思想を探った。

 任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」のほとんどの処理を一手に引き受けているのが、「Nintendo」のロゴマークがパッケージに刻印されたSoCである。このSoC以外に3DSが搭載する大規模LSIは、東芝製のフラッシュ・メモリと富士通セミコンダクター製のFCRAMだけだからだ。SoCを詳しく解析することで見えてきたのは、成熟した技術をうまく使いこなすという任天堂の設計思想だった。

「オール・デジタル」のSoC

 3DSのSoCは、寸法が16mm×16mm(実測値。以下すべて同じ)で512端子のパッケージに収められている。パッケージ上面には、任天堂のロゴマークの他、「1037 21」「CPU CTR」「ARM」といった文字の刻印がある。英ARM社のCPUを集積したSoCであることは推測できるが、外部からはそれ以外のことは分からない。

 SoCのパッケージを溶かすと、7.65mm×7.64mmのダイが現れた。そのダイの配線層を剥離することで、おぼろげながらSoCの回路構成が見えてきた。

 3DSのSoCのダイ写真を見た、ある半導体技術者は「機能ごとに、整った形の回路ブロックにまとめられているように見える。回路が作り込まれていない箇所もあり、極めて高集積なLSIとはいえない。少し余裕を持たせたフロア・プランをあらかじめ決めて、回路ブロックごとに別個に設計したのだろう」と指摘する。

『日経エレクトロニクス』2011年4月18日号より一部掲載

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