<序章>
攻めに出る日本企業
電機・大買収時代
国境を越えた企業のM&Aが活発になってきている。停滞感が漂う国内電機産業だが、産業構造の組み替えを実施し、海外市場を攻略できれば、その未来は決して暗くない。
日本企業の間で、海外企業を相手とした合併・買収(M&A)の動きが戻りつつある。
調査会社の米ThomsonReuter社によれば、2010年の日本企業による海外企業のM&A件数は対前年比1.5倍となる520件で過去最多となった。金額は3.4兆円であり、対前年比で87%増加した。
昨今の円高は、海外企業を買収するには絶好の機会。未曽有の円─米ドル為替レートを背景に、日本企業は攻めのM&Aモードに突入している。
海外企業を買った日本企業
- ルネサス
- リコー
中国資本で復活した日本企業
- ラックスマン
- 東山フイルム
エレクトロニクス業界へのエール
<事例に学ぶ将来像>
これまでの常識を疑え
答えは原点にある
電機業界の研究開発に蔓延する多くの“常識”。研究開発機能を海外に移転する、早期の事業化を求める、技術をブラックボックス化する。異業種を含む製造業全体を見渡せば、こうした“常識”に逆らって成長を続ける企業が多くある。
電機業界ではグローバル化の流れとともに、研究開発機能を海外に設け、研究者や技術者を世界中に求める考えが“常識”となりつつある。
ところが製造業全体を見渡すと、電機業界とは異なる“ 常 識 ”を基に、グローバル化で成功を遂げている企業がある。
その代表例が建設機械大手のコマツだ。同社は2010年度の連結売上高として1兆8150億円を見込む。その売り上げ規模は、日本の最大手半導体専業メーカーであるルネサス エレクトロニクスの約1.6倍、同じく国内最大手の電子部品メーカーであるTDKの約2.1倍を誇る。