3次元CADを導入したが、なかなか開発プロセスの効率化が進まない──。そう悩んでいる企業は少なくない。この悩みは、新しい機能を持ったツールを導入したからといって解決するものではない。3次元設計に取り組んではいるが、十分な効果が得られていない企業の体質のどこに問題があるかを分析し、その結果に応じた改善方法を選択できるスキルを、本コラムでは伝授します。

 昨今、機械製品といっても、そのほとんどに電気・電子機器が組み込まれており、機械設計と電気・電子設計の融合、いわゆるエレ/メカ連携が不可欠な時代となっている。今回からは、このエレ/メカ連携の進め方について解説する。

 本コラムではこれまで、3次元設計をベースにした開発プロセスの構築、または再構築のための取り組みを解説してきた。単に3次元CADをツールとして導入することではなく、仕事の進め方そのものを変革して効率化を実現する方法や手段がテーマである。このテーマに即して言えば、エレ/メカ連携をどのように進めるかもまた、極めて重要な課題だ。

 ところが、現状のエレ/メカ連携は筆者の見るところ、いわば「メカ/メカ連携」になっていることが多い。電子部品であってもメカの一部として扱われ、メカ設計の価値観やプロセスの中で製品に組み込まれていく。この状況を見直すことが、エレ/メカ連携を推進していくカギであると考えている。

〔以下、日経ものづくり2011年4月号に掲載〕

前田篤志(まえだ・あつし)
O2 リサーチ フェロー、Ph.D.
米国にてRF(Radio Frequency)技術を教える傍ら、マネジメント要素を盛り込んだ独自の「RF Management」論を構築。現在は特許工学などの講義を基に、現象論に立脚したエレクトロニクス教育の啓蒙に従事する。
O2(http://www.o2o2.co.jp/)は、設計開発領域を専門とするプロ集団。顧客企業の業務プロセス改革、高度な技術課題解決を総合的に支援。3D-DPRMなど独自の方法論を持つ。