2010年3月、自転車用後席幼児座席の足乗せ部が破損し、幼児の足が自転車の車輪に巻き込まれて負傷するという事故が発生した。ブリヂストンサイクルは2010年7月、類似3製品について無償点検・修理することを発表。さらに、同年9月には対象製品を9製品に増やした上で他製品への無償交換を実施した。ところが、いまだ事故原因の究明には至っていない。

 製品事故が発生した場合、その再発を防止するためには事故原因の究明が不可欠だ。それが曖昧な段階で再発防止策を決定しても、的外れな対策となってしまう恐れがある。

 しかし、市場に数多く流通している製品の場合は、事故の発生拡大を防ぐために早急な製品の修理/交換が不可欠である。もちろん、事故原因が正確に分かっていない段階で、修理/交換の対象となる製品の範囲や交換後に提供する製品を決めるのは難しい。交換製品の対象範囲をむやみに拡大することは、メーカー側にも大きな負担になるだろう。

 今回の自転車用後席幼児座席の事故は、原因究明が難航した場合の事故再発防止に向けた取り組みと、一般消費者向け製品におけるリコール情報の告知の難しさについて、教訓を示している。

〔以下,日経ものづくり2011年4月号に掲載〕