エンジンの冷却水配管は樹脂化の遅れた分野であった。中空で長い樹脂の部材を造りにくいためである。RP東プラは射出成形した後、金型の中で樹脂製の球を端から端まで空圧で飛ばし、穴を掘ることで中空品を造る技術を開発した。

 エンジンにある冷却水の配管は、普通はSTKM(機械構造用炭素鋼鋼管)などでできている。価格と耐熱性の点から、樹脂化は難しいと考えられてきた。中を高温の水が通るうえ、エンジンとラジエータ、ヒータコアなどをつなぐ部品であるため、そばに排気管をはじめ高温になるものが多い。中からも外からも熱にさらされるからだ。
 これを樹脂に置き換えたいというニーズがある。短い薄肉の管とはいえ、数100gはある。スズキの「1部品1g運動」に見られるように徹底した軽量化が進んだ現在、軽い部品だからといってないがしろにはできない。樹脂化を検討することは避けて通れない。また、前後の質量配分の問題から、エンジン周りの部品を軽くするニーズは高い。

以下、『日経Automotive Technology』2011年5月号に掲載