欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 2009年に、イタリアFiat社が米Chrysler社の株式を取得すると決断したとき、欧州の産業界では戸惑いが広がった。米国のビッグ3で最も瀕死の状態にあったChrysler社は、2年間、米国の投資ファンドであるCerberus社が保有していたが、まったく経営状態が改善しなかったからだ。
 Fiat社最高経営責任者(CEO)であるSergio Marchionne氏によれば、今回の提携に至った背景には、どんな自動車メーカーも、年間の生産台数が600万台以上なければ生き残れないという同氏の論理がある。さらに、ことしのデトロイトモーターショーで、同氏はこの600万台という数字が2014年までに見直されるだろうと語った。というのもドイツVolkswagenグループはすでに700万台という数字を口にしており、他のメーカーに至っては、より高い1000万台を目指しているからだ。

以下、『日経Automotive Technology』2011年5月号に掲載