大学発技術の商業化を目指すナノオプトニクス・エナジーは、鳥取県にある旧日本たばこ産業米子工場を利用して2011年度に電気自動車(EV)の生産を開始すべく準備を進めている。同社社長でインターネット総合研究所の創業者でもある藤原洋氏に、IT業界からEVの生産に乗り出した理由を聞いた。(聞き手は鶴原吉郎)

ナノオプトニクス・エナジー社長 インターネット総合研究所所長 藤原 洋氏

 私のようなIT業界出身の人間がEV事業を手がける背景には、日本経済が抱える四つの問題がある。一つ目は、欧米の技術を改良して、比較的安く欧米に売るという輸出依存型のビジネスモデルが、新興国の台頭によって崩れてきたことだ。
 二つ目の問題は、エネルギ自給率が原子力の再利用を入れても18%、純粋な自給率にいたっては4%しかないこと。10年前に年間5兆円だった原油輸入コストが、2010年は25兆円にも達している。新興国の需要が拡大しているから、これからも化石エネルギの輸入コストは増え続けるだろう。

以下、『日経Automotive Technology』2011年5月号に掲載