ドイツVolkswagen社は、2011年1月に開催されたカタールモーターショーで、ハイブリッドコンセプト「XL1」(図)を世界初公開した。後部にエンジンを搭載して空気抵抗を減らし、CFRP(炭素繊維強化樹脂)製キャビンの採用などで、100km走行当たり0.9Lの超低燃費(CO2排出量は24g/km)を実現した。

 「1Lの燃料で100kmの航続距離を実現する」という目的で、同社がCFRP製ボディによる2人乗り超低燃費車“1Lカー”を提案するのは3回目。最初のモデルは、2002年4月の株主総会に姿を見せた。排気量0.3Lで最高出力6.3kWの自然吸気単気筒ディーゼルエンジンを、6速AMT(Autom ated Manual Transmission)と組み合わせて搭載し、実走行で100km当たり0.89Lという超低燃費を記録した。
 2代目の「L1」は、2009年9月のフラクフルトモーターショーで発表。初代との大きな違いはハイブリッドシステムの採用である。標準モードで20kW、スポーツモードで29kWの最高出力を発生する0.8Lターボディーゼルエンジンと、同社が「DSG」と呼ぶ7速DCT(Dual Clutch Transmission)の間に、最高出力10kWのモータを配置。100km走行当たりの燃料消費量は1.38Lで、CO2排出量は36g/kmとなった。
 3代目のXL1もパラレルハイブリッド式の採用はL1に準じている。ただし、プラグイン充電に対応しており、容量5kWhのLiイオン2次電池を満充電(電圧220Vで75分または360Vで30分)すれば35kmを電気自動車(EV)走行することができる。

以下、『日経Automotive Technology』2011年5月号に掲載
図 ドイツVolkswagen社「XL1」
CFRP(炭素繊維強化樹脂)製軽量ボディのプラグインハイブリッド車。Cd(抗力係数)は0.186と低く、0.9Lの燃料で100km走行できる。