電気自動車(EV)のベンチャーであるSIM-Driveは、先行開発車両に搭載するインホイールモータについて明らかにした(図)。先行開発車両は、2011年春に公表する予定。5人乗りの小型車で、電池容量は約26kWh、航続距離は約300km。モータを車輪に組み込むため、小型車でありながら、室内空間を広く確保できるという。

 開発したインホイールモータは、減速ギアを介さないで車輪を直接駆動する高効率のダイレクトドライブ方式を採用するのが特徴だ。同社社長で慶応義塾大学教授の清水浩氏は、2004年に開発したEVコンセプト「エリーカ」を含め、複数のEVのコンセプトカーを試作してきたが、減速ギアを介さないインホイールモータの開発は初めて。
 減速ギアを省けた理由として、モータの永久磁石や巻線密度、コアなどの性能が向上したことに加えて、トルクを出しやすいアウターロータの構造を採用したことが挙げられる。アウターロータは、インナーロータに比べて構造が複雑になるが、磁石を軸から遠くに配置できることからトルクを高められる利点がある。このため、減速ギアを介さないでも十分なトルクを確保できた。

以下、『日経Automotive Technology』2011年5月号に掲載
図 開発した駆動用モータ
先行開発車両に組み込む。インナーステータ、アウターロータの構造だ。