アイドリングストップ機構が、本格的な普及の兆しを見せている。最近発売された新型車では、ほとんどの車種が同機構の装着車を用意、近い将来小型車や軽自動車では、ハイブリッド車でなくても10・15モード燃費で30.0km/Lが実現しそうだ。アイドリングストップ機構は普及を狙う低コスト化と、さらなる燃費改善を狙う高付加価値化という二つの方向で進化し始めた。

 日産自動車「マーチ」「セレナ」、ダイハツ工業「ムーヴ」、トヨタ自動車「ヴィッツ」、スズキ「MRワゴン」、ドイツVolkswagen社「トゥアレグ」、イタリアFiat社「MiTo」──。昨年から今年にかけて発売されたこれらの新型車は、いずれもアイドリングストップ機構を備える点で共通する(表)。
 同機構の燃費改善効果は大きい。日本の10・15モードで、ほとんどの装着車がベース車に対して1.5~2.5km/Lの改善を果たしている。例えばマーチの場合、ベース車の24km/Lから、装着車は26km/Lと、約8%改善した。

欧州のMT車から搭載始まる

 ここにきて同機構の装着が増えてきたのは、構成部品がそろい、導入しやすい環境が整ってきたからだ。手動変速機(MT)搭載車を中心に欧州で導入が進んだことで、スタータモータや鉛2次電池の技術が確立してきた。
 ドイツBosch社は2007年から耐久性の高い飛び込み式スタータを量産している。量産中の「SSM1」は耐久性を従来の3万~4万回から25万回に高めたタイプで、2010年には年間100万台を生産した。加えて、エンジンの停止位置を正確に検出できる逆転検知機能付きクランク角センサも用意する。

以下、『日経Automotive Technology』2011年5月号に掲載
表 最近登場した主なアイドリングストップ車
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