携帯電話機市場の巨人Nokia社が,戦略を大幅に見直した。「iPhone」や「Android」の登場で,携帯電話機の市場が大きく変わったからだ。誰もがスマートフォンを作れてしまうというコモディティー化の波も押し寄せている。2011年の主力機種を発表した携帯電話機メーカーの取り組みから見えてきたのは,Androidなど共通のプラットフォームの上で自社ならではの価値を生み出そうとする姿だった。

Nokia社が歴史的な戦略転換
(写真:Nokia社)

 「我々は今,重大な岐路に立っている。将来への歩みを進めるためには,大きな変化が避けられない」(フィンランドNokia Corp., President and CEOのStephen Elop氏)。

 モバイル関連の世界最大の展示会「Mobile World Congress 2011」(2011年2月14~17日)の開幕を目前に控えた11日,Nokia社が“歴史的”な戦略転換を発表した。スマートフォンのメインのプラットフォームとして「Windows Phone」を採用するなど,米Microsoft Corp.と戦略的に提携する計画だという。

 携帯電話機の世界販売台数シェアで1位の座に君臨し,販売台数では2位以下を大きく引き離しているNokia社。その巨人ですら,携帯電話機市場の急激な環境変化に,事業戦略の大幅な変更を余儀なくされたのである。

群を抜くApple社の収益

 Nokia社にこの変化を迫ったのは,米Apple Inc.の「iPhone」や,米Google Inc.の「Android」をベースにしたスマートフォンの隆盛だ。米International Data Corp.(IDC)が2011年2月に発表した調査結果によると,スマートフォンの2010年世界出荷台数は3億260万台。台数ベースで携帯電話機市場の2割近くを占めており,その比率は今後も急速に高まる見通しだ。

『日経エレクトロニクス』2011年3月21日号より一部掲載

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