【強さの秘密】試作用の木型から量産用の金型まで、鋳造用の型製作を一貫製作する。デジタル全盛時代に、手彫りの木型というアナログな技術を金型製作やターボチャージャ向けインペラのマスタモデル製作に生かす。特に後者は世界シェア4割を誇る。

 田口型範の事業は、砂型鋳造用の木型・金型の製作と、同時5軸制御のマシニングセンタによる金属部品の加工が2本柱だ。主力事業の型製作は、自動車や建設機械のエンジン・足回り部品向けが中心。同社の木型と金型は、いずれもマスタモデルに、金属が流れる湯道の形状を付加したもので、これを基に鋳造用の鋳型(砂型)を作る(図)。一般に手直ししやすい木型(以下、砂型用木型)は試作段階の砂型造形に、耐久性の高い金型(以下、砂型用金型)は何度も砂型を作る必要のある量産時の砂型造形に使う。

 一方の部品加工は、自動車のターボエンジンに空気を送り込むインペラ(羽根車)の製造が中心だ。売り上げにおいて部品加工事業の占める割合は全体の2割程度と大きくないが、ターボチャージャ用インペラのマスタモデル生産では世界シェアの約4割を握り、同分野で大きな存在感を示している。

〔以下、日経ものづくり2011年3月号に掲載〕

図●木型への塗型作業
砂型造形時の砂の焼き付きを防止するため、木型の必要部位に平筆で黒鉛を塗る作業。