トヨタ自動車は「ラクティス」を全面改良した。発売から1カ月間で、月販目標台数4500台の3倍にあたる約1万4000台を受注した。一方、富士重工業は同車のスバル版「トレジア」を新たに発売した。富士重工がトヨタからOEM供給を受ける初のモデルになる。現在ダイハツ工業からOEM供給を受けている「ジャスティ」(ダイハツ名「ブーン」)は販売を打ち切る。ラクティス/トレジアの生産は関東自動車工業の岩手工場が担当する。

 運転席の高さはリフタを中央にした場合で地面から610mmとし、先代より35mm下げた。これが、身長170cmの人が腰の筋肉をできるだけ使わずに乗り降りできる高さだという。室内高は1310mm。乗り降りのときに“鴨居をくぐる”意識をせずに頭を通過させることができる。
 それでも全高は1585mmと先代より55mm低くなった。このため着座姿勢は“乗用車的”になり、ステアリングの垂直からの傾きは32度から28度に立った。先代はステアリングの上から見ることによって視線移動量を小さくしたメータを採用していたが、ステアリングを立てたためこの配置が成立しなくなり、ステアリングの中から見る普通のメータになった。
 乗り降りについては運転席の高さ、ドア開口部の高さ以外に、もう1点スピーカにこだわった。ドア前端のスピーカは、窓ガラスが降りてくる軌跡、スピーカ自身の寸法などの制約を前提にして素直に設計すると、どうしてもドア内装から突き出す。乗り降りの時にはここを靴が通るため、スピーカの部分は土で汚れているのが普通だった。今回はガラスの曲率半径を大きくして軌跡を外に出し、スピーカの前面を内装と“面一”にした(図)。

以下、『日経Automotive Technology』2011年3月号に掲載
図 右前のドアを開けて足元を見る
スピーカがドア内装材の面から突き出していない。乗降のときには、ちょうどここを足が通る。