ハナから謎掛けで恐縮だが、お線香とキャブレタと掛けて、ティーンエージャーの恋と解く。そのココロは、すぐに火が付く。

 ヘタな謎掛けなので解説が必要だ。お線香に求められる性能については、お香というくらいだから香りが大切であることに間違いはないのだが、それに加えて着火性が重要なのだそうだ。確かにそうだ。お線香をたくときに火が付かないのでは、シャレにならない。マッチやライターでサッと火が付くよう先端部の形状には工夫があって、しかもそれが製造のノウハウになっているらしい。ここまで書けば、今回のタイトルになぜキャブレタが出てくるのか、もうお分かりかもしれない。念のために説明すると、キャブレタとは内燃機関に必要な気化器のことで、燃料を空気とうまい具合に混合して、プラグの火花で点火しやすいようにする装置である。今は燃料を直接シリンダに噴射する直噴ポンプが主流のためキャブレタは不要になってしまったが、要するに、燃料に着火させるための装置なのだ。

 謎掛けをしてここまで説明するなんて、書いている自分を笑ってしまうが、お線香もキャブレタも「着火」が大事。それで、ティーンエージャーが恋をすると瞬く間にハートに「火が付く」、ということである。

〔以下、日経ものづくり2011年2月号に掲載〕

多喜義彦(たき・よしひこ)
システム・インテグレーション 代表取締役
1951年生まれ。1988年システム・インテグレーション設立、代表取締役に。現在、40数社の顧問、日本知的財産戦略協議会理事長、宇宙航空研究開発機構知財アドバイザー、日本特許情報機構理事、金沢大学や九州工業大学の客員教授などを務める。