わずかな振動や温度差、光を電気エネルギに変換するエネルギ・ハーベスティング(環境発電)が注目を集めている。市場調査会社の英IDTechEx社は、エネルギ・ハーベスティング用デバイスの市場規模が、2010年の6億500万米ドルから2020年には7倍以上の44億米ドルに成長すると予測している。

 「ここ1~2年でエネルギ・ハーベスティングで駆動できる部品がそろってきた」(村田製作所)。例えば、10年前は1mA程度の電流が必要だった加速度センサは、現在その1/100程度の10μA程度で駆動できるようになり、回路制御などに用いるマイクロプロセッサに要する電流も100μA程度で済むようになってきたという。

 かつては、せいぜい数十μ~数mWというあまりにも小さな発電量だったために使い道がないと考えられていたエネルギ・ハーベスティング用デバイスだが、電子部品の小型化・省電力化を背景に、実用化に向けた検討が急速に進んでいるのだ。

 特に、日本メーカーは電子部品の小型化や省電力化を得意とするだけに「日本が手掛ければ強い分野のはず」(NTTデータ経営研究所社会・環境戦略コンサルティング本部シニアスペシャリストの竹内敬治氏)と期待が高まっている。2010年5月には、エネルギ・ハーベスティング分野に関する情報交換や普及を目的に国内メーカー13社が集まり、「エネルギーハーベスティングコンソーシアム」を設立した。事務局のNTTデータ経営研究所によると、参加企業は現在、国内外の30社近くに増えたという。

〔以下、日経ものづくり2011年2月号に掲載〕