三菱電機は、福山製作所内の配線用遮断器の工場にロボットを用いた自動組立ラインを導入した。自動化でほぼ全ての組立工程の生産能力や生産性を高め、国内外への供給拠点としての役割を強化する。

 新ラインで造るのは、2010年1月に発売した「WS-V」シリーズ。同シリーズはあらかじめ組立工程の自動化を前提に設計された。同年中は手作業による従来の組立ラインで造っていたが、2011年1月から満を持して自動化ラインに移行した。これに伴い、ロボット85台などに約50億円の投資を行っている。

ユニットの構造が複雑

 遮断器は主に(1)開閉機構ユニット、(2)可動子、(3)クロスバー、で構成されている。遮断器の組立工程は、大まかには(1)を造った上で、(1)~(3)をベースに組み付けて筐体内に収めるというものだ(図)。

 (1)は、オン/オフの操作を手動で行ったり、過電流などが流れた場合に自動で接点を切り離したりするための機構で、遮断器で最も重要な機能ユニットである。(2)は、(1)の動作を受けて動く端子で、機種によっては複数(遮断器に接続可能な配線数と同じ数)ある。(3)は、(1)の動作を複数の(2)に伝達するための機構だ。

〔以下、日経ものづくり2011年2月号に掲載〕

図●遮断器の構造
遮断機で最も重要な機能を担う開閉機構ユニットは、複雑な形状の部品が多いので、組立工程の自動化が難しかった。