東レは、ポリマアロイにおける樹脂の組み合わせ自由度を大きく高められるアロイ化の技術を開発した。同技術によって、従来製法では均一に混ぜられなかった樹脂の組み合わせが可能になる。例えば、融点が大きく違う樹脂や、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂などの組み合わせだ。今後、成形材料や繊維、フィルムなどに同技術を適用し、耐熱性や機械的特性などを大幅に向上させた新規ポリマアロイを開発して3年以内の発売を目指す。

 開発した技術は、ポリマアロイの一般的製法である溶融混練法とは発想が全く異なる。溶融混練法は、別々に製造したポリマを溶融混練機に入れ、溶かして混ぜることでポリマアロイを造る。これに対して新技術は、一方の樹脂だけを別に造っておき、それをもう一方の樹脂の原料であるモノマの溶液中に溶解させ、均一に混ぜた上でモノマを重合させる。

 東レはこの新技術を適用し、融点が大きく異なるPET(ポリエチレン・テレフタレート、融点は約260℃)と熱可塑性PI(ポリイミド、同約390℃)のポリマアロイを試作した。その結果、従来法で試作したものに比べて大幅に耐熱性が向上することが分かった(図)。耐熱性の他、樹脂の種類によっては耐衝撃性や耐薬品性、水蒸気バリア性なども向上するという。

〔以下、日経ものづくり2011年2月号に掲載〕

図●高温時の強度が向上
100℃の環境で2kgf(19.6N)の荷重を1時間かける試験。いずれも、PET(90質量%)/熱可塑性PI(10質量%)アロイの射出成形品。新技術で造ったポリマアロイのガラス転移温度は101℃。溶融混練法で造ったものは89℃、PET単体だと82℃である。