【強さの秘密】スプレーガンを搭載した天つり型のロボットとワークを高速回転させる塗装技術を核とした、独自の塗装システムを開発・製造する。高い生産性と省エネルギの両面で他社製品を引き離す。特に、携帯電話機の筐体など小型製品に強い。

 タクボエンジニアリングは、携帯電話機をはじめとする情報端末の筐体や自動車の内装部品など、小型製品向けのロボット塗装システムのメーカーである。顧客の生産量や要求品質に応じて標準システムをカスタマイズして提供しており、韓国Samsung Electronics社の携帯電話機の90%以上がタクボエンジニアリング製のシステムで塗装されている。実は同社は、携帯電話機向けの塗装システムでは世界シェアの約20%を握る隠れたトップ企業なのである。

 塗装システムは、ワークの脱着から塗装、乾燥などの一連の工程を処理するためのもの。一般的には、コンベヤや塗装ブース、塗装ロボット、乾燥システム、紫外線(UV)処理システムなどから成り、塗装ロボットにはスプレーガンを搭載したバランスアームを床に置くタイプ(床置き式)を使う。

 これに対し、同社の中核製品である「SOFTBOY」シリーズは、天つりロボットのアームにスプレーガンを搭載した独自形式を採用している。加えて、同社が「Rの技術」と呼ぶ塗装方法によって高い生産性を実現しているのだ。

〔以下、日経ものづくり2011年1月号に掲載〕

図●8丁のスプレーガンを搭載したシステムの塗装ブース
8つのスプレーガンを搭載したロボットアームによる同時塗装。手前で回転しているのがワーク(携帯電話機)で、1つの治具に10個ほどのワークが載っている。