クラレは、曲げると電圧が発生するフィルム状のポリマセンサを開発した(図)。センサ本体の変形量に応じて発生する電圧が増減し、変形している間はほぼ一定の出力を保てる。電源は不要である。医療機器や各種入力装置などの用途を想定しており、市場規模は全世界で年間約1000億円と推定している。

 新開発のセンサに用いた高分子材料は、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィンをベースとし、改質によってイオン基を加えたもの。センサの構造は、この高分子材料の薄膜を1対の電極で挟んだ形状となっている。センサが変形していない状態ではイオン基が均一に分布しているので電圧が発生しない。だが、センサを曲げるなどして変形させるとイオン基の分布が不均一になるので、均一になろうとする力で電圧が発生する。

〔以下、日経ものづくり2011年1月号に掲載〕

図●新開発のセンサ
高分子の薄膜を1対の電極で挟んだ構造。材料自体が柔軟で、加工自由度も高い。