日産自動車は、「ジューク」にターボ過給エンジン「MR16DDT」を搭載した車種を追加し、2010年11月2日に発売した。前輪駆動の「16GT」と、4輪駆動の「16GT FOUR」だ。

 MR16DDTは排気量1.6Lの直噴ガソリンエンジン(図)。可変バルブタイミング(CVTC)機構を吸気側だけでなく、排気側にも搭載することで吸排気効率を高めた。圧縮比は9.5:1。最大トルクは240N・m(24.5kgf・m)/2000~5200rpm、最高出力は140kW(190PS)/5600rpm。
 燃料を1サイクル中2回に分けて噴射する。1回目は吸気行程中、2回目は圧縮行程の後半だ。普段は1回目を主体にして均一な混合気を筒内に作る。
 これに対して暖気運転中は、1回目を噴かず、2回目だけにする。圧縮行程の後半だからピストンは上がっており、燃料を噴く空間は平たい円盤状になる。噴く時期は、インジェクタから出た燃料がプラグまで届いた瞬間に点火するように逆算して決める。燃料はインジェクタから点火プラグに向かうコース上に集中する。その部分の空燃比は低く(濃く)着火性は高い。

以下、『日経Automotive Technology』2011年1月号に掲載
図 新エンジン「MR16DDT」
排気量1.6Lのエンジンを過給し、2.5L並みの動力性能。