今回は、より広い分野で通用する「多視点」を獲得する方法として、筆者も実践している3つの方法を紹介する。多視点が機械などの複合的なシステムの開発で重要なことは既に紹介したが、その具体的なアプローチとして参考にしてほしい。
1つめは、自分が無意識に使っている視点をあらためて認識することだ。開発プロジェクトはQCD(品質/コスト/納期)の視点で管理することが多いが、これは経験に基づいて無意識に使っている多視点の代表例である。
業務経験を長く積むと、このように採るべき視点を自然に判断できるようになる。だが、それだけでは十分とはいえない。さまざまな分野に応用するには、身に付けてきた多視点を無意識ではなく明確に意識した上で使うことが大切だ。
2つめは、他人の視点を身に付けることである。人は、自分と関係がある要件ばかりに目がいきがちだが、他人の関心事に目を移すことで、より多くの視点からシステムを見られるようになる。
〔以下、日経ものづくり2010年12号に掲載〕
慶応義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 准教授