「当社のエネルギ関連技術の粋を集めた」──三洋電機代表取締役社長の佐野精一郎氏がそう語る、同社加西事業所(兵庫県加西市)の「加西グリーンエナジーパーク」が、2010年10月末に稼働を開始した(図)。Liイオン2次電池の生産ラインやNi水素電池の組立工場などを有する新工場だ。Liイオン2次電池工場では、2010年度に100万セル/月のハイブリッド車向けの電池を生産し、2015年には10倍の1000万セル/月にまで拡大する計画だ。

 新工場のエネルギ対策は、総出力1MWの太陽光発電システムに代表される「創エネ」、Liイオン2次電池を使った容量1.5MWhの大規模蓄電システムの「蓄エネ」、機器の電力使用を監視・制御するエネルギ・マネジメント・システム(EMS)による「省エネ」、そしてそれらを統合的に制御してエネルギ利用の全体最適を図る「スマートエナジーシステム(SES)」を柱としている。EMSで電力消費を抑えるとともに、大型蓄電設備にためた深夜電力や太陽光発電の電力を利用して、電力コストや系統電力の消費量を抑制する。

 同社は同工場をエネルギ技術を実証する実験場と位置付けており、エネルギ対策を施さない場合に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を約25%、2480t削減する目標を掲げている。速度センサや無線通信モジュール、整流回路や電源制御回路、蓄電デバイスを組み合わせた。

〔以下、日経ものづくり2010年12月号に掲載〕

図●三洋電機の「加西グリーンエナジーパーク」
約50億円を投資して建設した。奥の最も大きな建屋がLiイオン2次電池を製造する新設工場棟(a)。各建屋の屋上のほか、管理棟の壁面にも太陽電池発電パネルを備える(b)。