任天堂が新型ゲーム機「ニンテンドー3DS」を,2011年2月26日に発売する。裸眼での3D表示が可能な3DSに対するエレクトロニクス業界の期待は高い。苦戦が続く3D対応機の市場が,立ち上がるきっかけになる可能性があるからだ。任天堂にとっても,3DSは主力事業であり失敗は許されない。事業の垂直立ち上げを目指し,ハードウエアとソフトウエアの両面に工夫を盛り込んだ。

裸眼3D普及の試金石に

 裸眼での3次元(3D)映像表示に対応する任天堂の新たな携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」(以下,3DS)。発売を目前に控え,機器メーカーやディスプレイ・メーカーなどの多くの3D関係者から注目を集めている。

 “3D元年”と呼ばれる2010年に入ってから,テレビやパソコン,カメラなど3D映像対応の民生機器が次々と製品化されているが,いずれも市場で成功を収めているとは言い難い。こうした状況下で発売される3DSは,「3D対応の民生機器として,世界で初めて大量販売される」(立体映像/CG/VFXジャーナリストの大口孝之氏)製品となる。2004年の発売以降,1億3000万台以上を販売した「ニンデンドーDS」シリーズの後継機である3DSが成功するかしないかは,3D対応の民生機器の今後を占う試金石となる。

 3DSが首尾よくヒットした場合,その波及効果は計り知れない。まずは携帯機器を中心に,裸眼3D機能を標準搭載する動きが加速していくだろう。特に携帯電話機やスマートフォンでは,3D映像の表示機能や撮影機能が搭載されるだけではなく,無料ゲームやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)といったコンテンツの3D対応が急ピッチで進む可能性が高い。

『日経エレクトロニクス』2010年11月15号より一部掲載

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