雑誌 特集

何でもつなぐモバイル

カメラもテレビもカーナビも

高橋 史忠,清水 直茂=日経エレクトロニクス
2010/10/15 09:00
 

通信料,「仕分け」してますか

 あーあ。今月も結構な額になっているわ。通信料が。携帯電話とか,インターネットとか,何だかたくさんあるのよね。このカーナビ用って,本当に必要なの? だんなは「道が混んでるときに渋滞をうまく回避できるんだよ」なんて,うれしそうに言ってたけど,あまり実感したことがない。ケーブルテレビは,韓流ドラマや子供番組が見られるから許すとして。そうそう。最近話題のタブレット。結構いいわよね。アレは,通信料が掛かるのかしら。

『日経エレクトロニクス』2010年10月18日号より一部掲載

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第1部<ニーズの高まり>
自由なモバイルの幕開け
「安価で高速」を解き放つ

モバイル通信が,「何でもつなぐ」未来に向けて動きだした。くさびを打ったのは,移動通信と無線LANの機能を兼ね備えたモバイル・ルータだ。それが,モバイル通信のニーズと競争を喚起し,安価で高速なサービスを生み出す引き金になる。

何でもつなぐモバイル通信へ

 カカクコムが運営する価格比較サイト「価格.com」。商品の実売価格や使用感の評価に敏感な消費者が多く集まる同サイトで,2009年12月ごろから利用者の関心が高まっている通信機器がある。移動通信を使ったインターネット接続機能と,無線LANルータ機能を備えた携帯型の通信機器「モバイル・ルータ」だ。この機器の製品仕様や口コミ情報などが価格.comで閲覧される数は,2010年に入ってじわじわと増え,同年5~6月に一気に前の月の 3倍以上に急上昇した。

多様な機器でモバイル常時接続

 モバイル・ルータの利用者の広がりには,販売する通信事業者も驚きを隠さない。「それなりにニーズはあるとみていたが,当初はニッチな商品と考えていた」。2009年11月にモバイル・ルータ「Pocket WiFi」を発売したイー・モバイルの常務執行役員 経営戦略本部長の坂田大氏は打ち明ける。

 フタを開けてみれば,今やモバイル・ルータは同社の屋台骨を支える通信機器の一つだ。新規に獲得する3G通信サービスの個人ユーザーのうち,実に半数以上がモバイル・ルータを選ぶようになった。購入者の6割以上は「パソコンだけではなく,他の機器と組み合わせて使いたい」との回答を寄せているという。

 こうした動きから見えてくるのは,「いつでもどこでもインターネットを使える機器が,携帯電話機やノート・パソコンだけではなくなった」という認識の広がりだ。

『日経エレクトロニクス』2010年10月18日号より一部掲載

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第2部<将来像>
サーバーを持ち歩く時代
“途切れない”の実現が柱

モバイル・ルータは今後,“途切れない”通信ハブへと進化する。カギを握るのはコグニティブ無線技術と,記憶装置を使ったキャッシング機能。それらの機能はさまざまな機器に広がり,機器メーカーに好機をもたらすことになる。

“途切れない”通信を実現

 バッファローが2010年6月に発売したモバイル・ルータ「ポータブルWi-Fi」が注目を集めている。第3世代移動通信(3G)を使ったインターネット接続機能と,無線LANルータ機能を備えた携帯型の通信機器だ。無線LAN機器で大きなシェアを占める同社が初めて開発した3G端末で,無線LAN関連に携わる社内の技術者の約半数を割いて開発した意欲作である。

 この機器が関心を集める理由は,モバイル・ルータが目指す将来の機能を一部先取りしたことにある。その機能は大きく二つある。

 まず,(1)複数のインターネット・アクセス網から快適に使える回線を自動選択する機能である。例えば,無線LANアクセス・ポイントを設置した家庭や飲食店などでは無線LAN,近くに無線LANの電波がない環境では3G回線といったように,データ通信回線を自動で選んで接続を切り替える。

 そして,(2)Webサイトや,動画などインターネット上のコンテンツを先読みし,大容量の外部記憶装置に一時格納しておくキャッシュ機能である。地下鉄やトンネルの中などインターネット接続の環境がない場所でも,モバイル・ルータにアクセスしてコンテンツを楽しめるようにする。

 いずれも,その場の通信環境に応じて,疑似的にモバイル通信が途切れていないように見せる工夫だ。モバイル通信は,データ通信量の増大による周波数帯域の逼迫という大きな課題を抱えている。通信サービスにつながりにくくなるなど品質が低下したときに,いかに快適にモバイル通信を利用できるようにするか。ポータブルWi-Fiが実現した二つの機能は,この課題を解決するヒントになる。

『日経エレクトロニクス』2010年10月18日号より一部掲載

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第3部<通信トラフィック対策>
通信網にはこだわらない
ホワイトスペースの活用も視野

通信トラフィックの急増への対策が,携帯電話事業者にとって喫緊の課題になりつつある。各社は,帯域制限や固定通信へのオフロードなど,あらゆる手段を駆使して急場をしのぐことに躍起になっている。

通信トラフィック増への対策が喫緊の課題に

 「ここ2~3年の通信トラフィックの増え方は想定外だった」。こう打ち明けるのは,ソフトバンクモバイル モバイルネットワーク本部 無線技術開発部 部長の野寺義彦氏である。

 同社がこの状況に直面した最大の要因は,米Apple Inc.のスマートフォン「iPhone」シリーズの好調な売れ行き。iPhoneによるトラフィックは,同社の他の携帯電話機と比べて約10倍に上るといわれる。

 iPhoneの国内販売台数は,MM総研の調査によると2009年度で約169万台と推定されている。単純計算すれば,一般的な携帯電話機のトラフィック量の1690万台分に相当する。ソフトバンクモバイル全体の累計契約数が2009年度末時点で約2200万であることから,iPhoneによってトラフィックは一気に8割以上も増えた計算になる。

 iPhoneのユーザーからは「つながりにくい」などといった声が上がり始めている。そのため,同社は対策に「常に追われているような状況」(野寺氏)になった。

 こうした事態は,他の携帯電話事業者にとっても人ごとではない。各社ともiPhoneのようなスマートフォンの販売を拡大しようとしているからだ。 KDDIも「トラフィックの伸び率はこれまで毎年40~80%増だったが,今後は倍々で増える」(同社 商品開発統括本部 モバイルネットワーク開発本部長 理事の湯本敏彦氏)と危機感を募らせる。

『日経エレクトロニクス』2010年10月18日号より一部掲載

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