ジヤトコ開発部門プロジェクト推進室主管の中野晴久氏
1997年に日産自動車「プリメーラ」に搭載された「Hyper CVT」の開発で、ロックアップ機構を担当したところからCVT開発に携わり、ジヤトコの最新CVTである副変速機付きCVTでは開発責任者を務めた。

 2009年7月、ジヤトコは、小型軽量化とフリクションの低減を実現した次世代の無段変速機(CVT)を、日産自動車と共同開発したと発表した。従来からの金属ベルト式CVTに、遊星歯車を使った副変速機を組み合わせたのが特徴だ。これにより、変速比幅は7.3と、従来の同クラスのCVTに比べ20%以上拡大している。併せて、軸方向の寸法を10%短縮し、13%の軽量化も達成した。
 この副変速機付きCVTは、2009年9月に、まずスズキが「パレット」に市販車として初めて搭載し、12月には新型「アルト」にも採用を拡大した。明けて2010年6月には、日産が新型車「ジューク」に、7月には新型「マーチ」に相次いで搭載している。特に新型マーチでは、このCVTを新開発の3気筒エンジンやアイドリングストップ機構と組み合わせ、10・15モードで26km/Lというクラストップの燃費を実現した。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載