日産自動車は上級ミニバンの「エルグランド」を全面改良して2010年8月に発売した(図)。従来型車に比べて95mm全高を下げ、同時に重心も低くすることで、操縦安定性と乗り心地を向上させ、「乗用車」としての性能を大幅に高めたのが特徴だ。

 新型エルグランドの発表会で、同社COO(最高執行責任者)の志賀俊之氏は「エルグランドは、高級ミニバンというジャンルを切り開いた先駆者であり、絶対にトップを奪還するという強い信念で開発してきた」と、販売台数でトヨタ自動車の「アルファード」「ヴェルファイア」の後塵を拝している悔しさをにじませた。
 同社はエルグランドを全面改良するにあたり、これまで支持されてきた「エルグランドらしさ」を継承しつつも「新しい価値」を盛り込むことに心を砕いた。この結果として生み出されたのが、全高を従来よりも95mm下げたプロポーションである。
 これは、他社の競合車種と比較するとはっきりする。新型エルグランドの車両寸法は全長4915×全幅1850×全高1815mm、ホイールベース3000mmで、従来型よりも80mm長く、35mm幅広く、95mm低い。ホイールベースは50mmの延長である。特に1815mmという全高は、最大の競合車種であるトヨタ自動車のアルファードに比べて85mm低い。

以下、『日経Automotive Technology』2010年11月号に掲載
図 新型「エルグランド」の外観
全高を95mm下げ、操縦安定性と乗り心地を向上させた。