「90后」を抜きに、これからの中国は語れません。90后とは「1990年代生まれの人」という意味です。同じ中国人でも、90后とそれ以前に生まれた人とでは、考え方や行動のパターンが大きく異なります。今後、中国市場では現在20歳以下のこうした若者が市場をけん引し、ビジネスの主役になっていくのです。
ところが、こうした変化を多くの日本人は認識していません。それどころか、今なお中国人について画一的な印象を抱いている日本人が少なくないのです。しかも不思議なことに、その印象はここ15年ほど変わっていないようです。つまり、私が日系メーカーの中国工場に管理者として初めて赴任した1990年代半ばに、部下として接した中国人社員の印象のままなのです。
すなわち、家族に仕送りをするために、貧しい農村から沿岸部の都市に出稼ぎにやって来た。十分な義務教育を受けていないことから、頭脳をフル活用するような職務の遂行能力はあまり高くなく、少々身勝手なところもある。それでも、かんで含めるように言い聞かせればきちんと理解してくれる。基本的には素朴でまじめな人たち──というものです。
〔以下、日経ものづくり2010年9月号に掲載〕
技術者・海外進出コンサルタント