日産自動車は2010年7月13日、新型コンパクトカー「マーチ」を発売(図)。同社最高執行責任者の志賀俊之氏は、「世界的にコンパクトカーの需要が高まっている中で、26km/L(10・15モード燃費)というクラスNo.1の燃費を実現できた。『エコマーチ』と呼んで欲しい」と胸を張った。
マーチの排気量は1.2Lで、トヨタ自動車の「ヴィッツ」やホンダの「フィット」と同クラスのコンパクトカー。生産コストの低いタイ、インド、中国、メキシコの4カ国で生産し、160の国と地域で販売する日産の世界戦略車だ。日本ではタイから輸入したクルマを販売する。
旧型は日本の追浜工場が主要な生産工場だったが、今回のモデルチェンジを契機に国内生産は取りやめた。国内自動車生産の空洞化という観点からも注目を集めている。
発表会では、「(低コスト国で生産しているのに)マーチの価格は、ライバル車と比較して圧倒的に安いとはいえないのでは」という質問が飛んだ。マーチのFF(前部エンジン・前輪駆動)車には3つのグレードがあり、99万9600円(税込み)、122万9550円(同)、146万8950円(同)。最廉価のものにはアイドリング・ストップ機構を搭載しておらず、燃費は24.0km/Lとなる。日産は、同機構を搭載した122万9550円のクルマを量販グレードと考えており、「クラスNo.1燃費を実現するアイドリング・ストップ機構を搭載しながら、(ライバル車と同価格帯の)120万円台を実現した」(志賀氏)と価格競争力を訴えた。
〔以下、日経ものづくり2010年8月号に掲載〕