欧州ジャーナリストの視点
フリーランス・ジャーナリスト Ian Adcock氏
英国在住。『What Car』『Autocar』『Motor』などの自動車専門誌の編集者を経て、1980年からフリーに。自動車技術専門誌の『European Automotive Design』誌に寄稿するなど技術にも詳しい。

 イタリアの著名なデザイン会社であるItaldesign-Giugiaro社をドイツVolkswagen-Audiグループ(VAG)が買収するというニュースは、世界の自動車産業を驚かせた。VAGは、グループ傘下のドイツAudi社が所有するイタリアLamborghini社を通じて、世界の自動車産業に対して最も影響力のあるデザイン会社の90.1%の資本を取得する。
 Giorgetto Giugiaro とAldo Mantovaniが1968年にItaldesign社を設立して以来、“Giugiaroの魔法”を製品に振りかけてもらうために、同社の扉をたたかなかった自動車メーカーは、世界でもわずかだろう。実際、明らかにこの世界でもっとも成功した自動車デザイン会社は、これまでに120以上のクルマをデザインしてきた。
 ドイツBMW社は、現在Italdesign社と進行中の「MINI」クーペやロードスターのプロジェクトは継続するとしているが、これが、BMW社がItaldesign社に依頼する最後のプロジェクトになることは確実だ。

以下、『日経Automotive Technology』2010年9月号に掲載